エアラインパイロットは、医師や弁護士などの専門職と同様に、高収入の職業のイメージがありますが、航空業界の環境変化で会社によって給与水準に差が生じています。
JALやANAといった大手航空会社のパイロットの平均年収が2000万円以上、スカイマークやスカイネットなどの中堅航空会社や新規参入の航空会社、格安航空会社の平均年収は700万円から1000万円といわれ、航空会社によって給料の水準は異なっています。
厚生労働省が公表している平成28年の賃金構造基本統計調査によれば、航空機操縦士の平均年収は2047万円と職種別ランキング1位となっています。
パイロットの給料が、他の職業に比べて高い水準にある理由や、給料の将来的な見通しを考察してみます。
エアラインパイロットの給料が高い理由は?
エアランパイロットが、2010年のJALの破綻によって一時的に平均年収が低下していましたが、ここ数年の新規航空会社や格安航空会社の登場により、労働市場でのパイロット人材の需給が逼迫しているため、平均年収は低下傾向から徐々に脱却しています。
航空会社は、定期便の路線数に対して飛行機の保有機数を決め、飛行機1機につき副操縦士5名、機長5名など、必要なパイロットの人数を想定して人材を確保しています。
既存の航空会社だけで新規のパイロット採用で人材が供給できていた状況から、新規の格安航空会社の登場やパイロットの高齢化に伴うパイロット不足の懸念から、パイロットを確保するために、給料が高くなっていると考えられます。
しかも、大勢の乗客の命を預かるパイロットには、常に健全な心身状態であることを求められ、精神的な負担も大きな職種のひとつであることも、給料が高くなっている要因の一つかもしれません。
エアラインパイロットの給料は、将来どうなるか?
ICAO(国際民間航空機関)の予測データによれば、2010年に全世界で46万人いたパイロットが、格安航空会社や新規路線の拡大によって2030年には、およそ2倍の98万人が必要とされていました。
日本のJALやANAといった大手航空二社においては、自社でのパイロット養成に加えて、私立大学の操縦士養成課程との連携によるパイロット人材の確保にも乗り出しており、パイロット不足が懸念されるのは、LCCと呼ばれる格安航空会社や中堅航空会社です。
2030年問題とされたICAOの航空需要予測とパイロット不足は、現実にはその需給逼迫が2020年にも現実化しそうな勢いで、短期的な将来においては、パイロットの獲得合戦が生じる可能性から、給料は現状から下がるよりも高くなる傾向が予想されます。
将来、旅客機の操縦にAI(人工知能)などの技術が導入されてパイロットのあり方が変化すれば、必要な人材が減り給料も下がる予測もできますが、パイロットがいない旅客機に乗客が乗る不安を払拭するには、長い時間が必要にも思われます。
パイロットの給料が高い理由は、人材が少ないから?
エアラインパイロットの給料が高い理由は、機長や副操縦士として操縦にあたることができる人材の確保が難しく、他の航空会社からの引き抜きを防ぐためと考えられます。
2030年には航空需要が現在の2倍になると予測され、将来必要となるパイロットも現在の2倍必要となる予測がある一方、人工知能の進歩により旅客機の無人操縦開発も進められています。
近い将来のパイロット不足は深刻で、世界で不足するパイロット獲得のために、高い給料が支払われそうです。