航空会社に在籍するパイロットには、機長、副操縦士、訓練生の三つに分類され、それぞれの段階で所有する資格と免許が異なります。
定期便を就航する日本の航空会社の旅客機のパイロットになるためには、自社養成パイロット候補生あるいは、有資格者として入社し、必要な訓練を受ける必要があります。
自社養成パイロットとして入社した訓練生は、まずは自家用操縦士資格を取得し、そして、事業用操縦士、多発限定拡張、計器飛行証明を取得します。
事業用操縦士資格を有した訓練生と有資格者が、副操縦士から機長となるまでに行う訓練内容を紹介します。
副操縦士になるためのパイロットの訓練内容には?
副操縦士になるためには、事業用操縦士、多発限定拡張、計器飛行証明が最低限必要で、自社養成パイロットとして採用された訓練生は、まず基礎訓練として取得を課されます。
訓練には、航空力学や航空気象、航空法規などの学科試験合格のための座学訓練と、単発機と双発機での操縦訓練が行われます。
単発機と双発機を使用した操縦訓練の内容には、通常の飛行を可能にする操縦方法の習得はもちろん、緊急事態の対処法の訓練も含まれています。
基礎訓練が終了した訓練生と有資格者は、乗務する機材が決まると、「型式限定」の免許を取得するための訓練が行われます。
「型式限定」の免許取得には、フライトシミュレーターを中心としてエアワークから緊急事態の対応まで訓練がなされ、実機での訓練内容にはタッチアンドゴーが繰り返されます。
機長となるためのパイロットの訓練内容には?
事業用操縦士資格を取得し、「型式限定」の免許を取得した訓練生はOJTを経て社内審査にパスすれば、副操縦士として乗務します。
副操縦士としての乗務は、「事業用操縦士」資格と「型式限定」免許を所有して行いますが、機長となるには、「定期運送用操縦士」の資格が必要となります。
「定期運送用操縦士」の資格取得のためには、副操縦士として機長昇格に必要な飛行時間を積み上げることが必要であると同時に、フライトシミュレーターなどでの操縦訓練が必要です。
フライトシミュレーターでの操縦訓練の内容には、離陸途中でのエンジン故障、急減圧緊急効果、油圧故障、悪天候時の着陸など、さまざまなトラブルを想定した状況が再現され、適切な操縦手順などが試されます。
パイロットが定期的に受ける技量審査でもフライトシミュレーターが活用され、試験官が想定するシチュエーションに対応できない場合や手順が違うなど、技量が維持されていないと判断されれば、再審査合格まで業務停止処分となります。
副操縦士としての経験が機長昇格試験に必要な飛行時間に達し、技量検定を受けて合格すれば、機長となりますが、平均して約10年程度の期間が必要とされています。
パイロットの訓練の内容は、危機対応がメインになる?
エアラインのパイロットになるためには、航空会社に自社養成枠、あるいは事業用操縦士の有資格者として採用され、副操縦士への昇格、その後飛行経験を積んで機長を目指します。
大型旅客機の訓練に使用されるフライトシミュレーターでは、担当教官がありとあらゆる危機的状況を想定できるため、訓練生の技量が判断されると同時に危機対応への操縦技量向上に利用されます。
機長になるまで平均で15年という長期間になりますが、訓練の途中で脱落するパイロットは約1%未満といわれ、身体を壊して治る見込みがない場合や訓練を受ける中で適性がないと判断される場合には、他の地上勤務の部署に回されることもあります。